Hallo!アンドンです。以前、都市間の鉄道ストライキについて記事を書きましたが、今回は他のストライキをご紹介します。
さて、まずはこちらをご覧ください。
はい、交通ストライキ再び、です。しかも今度は「近距離公共交通機関」が対象。地下鉄、路面電車、バス等のストライキです。
この記事では、初経験のストライキに直面した私がバイトに遅刻した事件をまとめてみました。
ストライキの影響は?
市内の交通機関が全滅
前回の都市間交通ストライキでは、主に他の街行きの電車が止まっていました。なので、市外に出る予定を入れない、というシンプルな対処法がありました。
が、今回はまさかの市内交通が対象。街中をつなぐ地下鉄、路面電車、バスなど、市内を走る公共交通が全滅、という惨状です。
日本だと、雪が降ろうが槍が降ろうがありえない事態です。
これが片田舎とかならまだわかるのですが、ここはデュッセルドルフ。ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都なんです。この地域の経済の中心地。そこで全交通機関がストップするのです。
私は甘く見ていました。せいぜいいくらか運休して遅延する程度だろう、と。
バイト、遅刻しました
DBアプリだと動いてる……?
ストライキの日は交通機関を利用しないようにしているのですが、この日だけはバイトがあったので外出せざるを得ませんでした。バイト先までは徒歩で1時間半ほど。できれば歩きたくない。
市内ストライキの時に外に出るのは初めて。ストライキってどの程度なんだろう?と、当日の朝、ドイツ鉄道(DB)のアプリで確認してみることに。
地下鉄、運休情報出ていないし、何本か動いている表示だな
あ、バスの遅延情報が更新されている。ってことは、ある程度は通常運転してるのね~
多少は電車が動いているようで、ホッとしました。これでバイト先まで歩かずに済みそう。
そう思った愚かな私は、バイト時間までのほほんとしていたのです。手にした根拠が幻とも知らずに……
地下鉄入り口にシャッター⁉
バイトの時間が近づき、一応いつもより1時間早く家を出ました。別件の用事を済ませるために、まずはバスに乗ろうとバス停へ。ちゃんとDBアプリで時間を確認しました。
2分くらい遅延しているな。でも遅れている=動いているだろうし待っていれば大丈夫か。
……
……
バス来ないんですけど?
定刻から10分過ぎてもバスが来ない。DBアプリで運行状況を確認すると、既に通過したことになっています。
まさか。
この遅延2分って架空の運行状況なのかよー!!!
愕然としました。最悪の想像が頭をよぎります。別件の用事を後日に回して、即行でバイトに向かうことにしました。
バスがダメなら地下鉄で。今朝運休情報が出ていないことは確認していましたが、最早何も信じられぬ。最寄りの地下鉄駅に走った私の前には、衝撃の光景が。
シャッター、閉まってる……
無情にも完全封鎖された入り口。他にも数人、地下まで降りては、とぼとぼ戻ってくる人たちの姿がありました。
どうしようどうしよう。バスもダメ。地下鉄もダメ。ってことは、徒歩移動しかない。
いや、まだだ!まだ終わらんよ!
ここは大都市デュッセルドルフ。さすがに中央駅まで行けば何かしら動いているのでは?!一縷の望みにかけて、とりあえず中央駅までダッシュすることにしました。
通りがかった地下鉄駅の様子がこちら。
こんな感じで、完全にシャッターが閉まっています。絶対に使わせないという強い意志を感じますね。落書きしたくなる気持ちもわかる。よくわかりました。
沈黙の中央駅
ぜーはーと息を切らしてたどり着いたDüsseldorf Hbf。いつもより何故か、人通りが少ないような。
あっ終わった……
はい、封鎖。地下鉄入り口がKeep Outされていました。電光掲示板を見る限り、どうやら地下鉄もSバーンもバスも全部止まっている様子。
詰みました。
正面入り口の方には右往左往する旅行者たちがいました。お仲間ですね。
既に中央駅からバイト先まで、全力で徒歩ってもちょっと遅れそうな時間でした。そのため、慌ててバイト先に謝罪を入れて、どうにか早く着ける手段を探すことに。
救世主、電動スクーター!
幸いここはドイツ。街中でよく見かける移動手段があります。
そう、電動スクーター!
電動キックボードとも呼ばれますがそれは日本だけで、多くは電動(E-)スクーターと呼ぶそうです。
ドイツではどこの街でもかなり使われていて、車道や自転車用道路をびゅんびゅん乗り回す人たちが見られます。
実はこれ、最速で時速20㎞ほど出ます。ママチャリと同じか少し速いくらいです。これを使えば、徒歩じゃ間に合わないバイトにも間に合う!
渡独してから、「なんかスピード早いし、使い方わからないし……」とまだ使ったことのなかった私ですが、そんな甘いことを言っている場合ではない。
駅前にはいろいろな会社のキックボードが停めてありますが、使うには各社のアプリが必要です。中央駅で慌てて何社かのアプリをダウンロードし、使える車体を探すことに。
が、駅前は利用者が多いからか、長時間乗れるほど充電されている車体がない。少し離れたところにフル充電されたものを見つけたので、そこまで急いで移動することにしました。
バスあった!乗った!
アプリで見つけた車体を探すべく、駅前で一人競歩していた私ですが、ここで問題が。
アプリで表示されている位置に車体が見つからない!私の性質上、GPSや位置表示がずれるのは日常茶飯事ですが、ここで出たのは痛かった。
近くを必死に捜索していると、電動スクーター、ではなく、一台のバスが横を通り過ぎていきました。
……動いている、バス?!
幸い、そのバスはすぐ近くに止まりました。案内表示を注視すると、なんとアルバイト先方面に行くバス!!私の後ろから、何人もの観光客らしき人たちが走って乗り込んでいき、バス停にいた蛍光色ベストを着たスタッフと思われる男性も、早く早く!と周りの人を急かして乗せていきます。
これに乗るっきゃ、ない!
行く方面は合っているし、流石に徒歩よりバスの方が早いでしょうし、何より道に迷う心配がない。1秒で即決した私は、閉まりかけたバスに飛び乗りました。
これで確実にバイト先方面に行ける。多分、時間前に着けるだろう。
安堵の息をついた私でしたが、使ったことのない路線なので、アルバイト先近くのバス停を調べようと、道中Googleマップをぽちぽち。そして表示されたルートと到着時刻が、
え、1時間、後……?
バイト遅刻、確定です。
Hbfからバイト先までは直線距離だとそれほど遠くないのですが、私が乗ったこのバスは、ぐーんと大回りをするルートだったのです。
嘘でしょ……
バスに乗らず、電動スクーターでまっすぐ爆走していれば間に合ったのに。しかも他に交通手段がなく乗客が多いせいか、Googleの表示時刻よりもバスは遅れていました。アルバイト先に改めてお詫びと到着予定時間を連絡し、悄然としてバスに揺られたアンドンでした。
電動スクーター初挑戦
どうにかこうにかバイト先の最寄りに到着したときには、既に連絡した時刻の10分前。このまま歩いていけば15分はかかります。
これ以上迷惑かけられるか!!
一刻も早くバイト先にたどり着くため、バスの中で予め、最寄りの電動スクーターの位置をチェックしていました。バスを降りた瞬間から、ダッシュで表示された車体の位置へ。
やっぱりない!
車体の位置はこの辺り~という大まかな円状に示されるのですが、駅前に引き続き、表示場所を3往復しても見つからない。
大丈夫、想定内だ!
どうせこんなことだろうと、もう一箇所目星をつけていました。急いで移動し、そこでも3往復。
ここにもないんですけど?!
電動スクーター、見つかりません。他の車体の位置は遠く、何が何でもここで探すしかありません。藁にもすがる気持ちでもう一度アプリを確認すると、ベルのマークが。音鳴るのか!とりあえずポチっと押してみると、大音量で響くベル音。音源を探して振り向いたら、
道の反対側じゃないのー!!
表示された円の外周際、道の反対側に、建物の柱の陰に隠れるように止まっていました。これはひどい。音が鳴る仕組みで良かったです。
使用手順は簡単。私が使ったのはシェアリング電動スクーター大手の「Lime」の機種ですが、以下のような流れでした。
- アプリをインストール
- 支払い情報等を登録
- 機体についている二次元バーコードをスキャン → ロック解除
- 使用後は、適当な場所にスタンドを立てて停車
- アプリを起動し、返却ボタンを押す → ロック
乗る時はハンドルにあるレバーを操作するのですが、最初からググっとレバーを押すと大変危険です。
私はやりました。
イメージとしては水曜どうでしょうの数ある迷シーンの一つ、「だるま屋ウィリー事件」です。ただしあの事件と違ってこちらはヘルメットなど防具がなく、姿勢も不安定なため、危険度も爆上げです。
だるま屋ウィリー事件とは (ダルマヤウィリージケンとは) [単語記事] – ニコニコ大百科 (nicovideo.jp)
右のレバーが「速度調節レバー」、左が「ブレーキ」です。乗り始めは足で漕いで若干加速し、少しずつ右の速度調節レバーを押していきます。最高で20㎞/時くらい出ますが、体感は自転車より速いです。停車時は自然減速を利用しつつブレーキを。好きな場所に乗り捨てられるのが最高に便利です。
一つ注意点としては、電動スクーターは歩道を走れません。車道又は自転車用道路を通行する義務があります。ドイツは自転車用道路が歩道の横にある場合が大半ですが、私が乗ったところは車道に自動車用道路があるタイプでした。
車の真横を、不安定な姿勢で自転車と同じ速度で走るのは結構怖いです。電動スクーターはこのくらい狭いスペースに両足を載せているため、かなり不安定です。
急ブレーキでバランスを崩したら車道に転倒、なんてこともあり得そう。私と同じような怖がりには、あまり向かない乗り物かなと思いました。
乗り始めこそウィリーしましたが、バイト先まで最高時速で爆走し、5分で無事到着。利用料は約2€でした。それでもなんとか報告していた時間には間に合ったので、安いものです。アルバイト先には平謝りして、ようやくこの日の仕事を開始できました。
おわりに
ストライキを舐めてはいけない
今回遅刻で大迷惑をかけてしまったアンドン。原因はいくつかありますが、最たる理由は「油断」でしょう。流石にこんな大都市で、完全運休とは思わなかったのです。主要な路線くらいは減便で済むだろうと。
アプリで情報も調べていたし、早めに家も出ました。以前の都市間交通のストライキ時に駅の様子を確認して、ある程度運行しているのも確認していました。
それでも「こんな大都市だし、市内のストライキも何かしら動いているでしょ!」という油断が根底にあったのでしょう。利用者に迷惑がかからないようにしてくれるだろう、という日本の感覚が抜けていなかったのかもしれません。
今後ドイツに住まれる方、旅行で来られる方は、交通機関のストライキ時にはすべての予定がダメになることを覚悟なさってください。ただ、市内がダメでも他の都市に行けば普通に運行していたり、逆に他都市に行けなくても市内で観光できたりするので、プランBを常に用意しておくといいかもしれません。
ストライキ情報は前日までには出るので、外務省の「たびレジ」等に登録して確実に情報を入手しておきましょう。どちらもオンラインでぱぱっと登録できます。
たびレジ:3か月未満の滞在、短期の旅行
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html
在留届:3か月以上滞在する場合は提出義務
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
ストライキが「できる」国
そもそも、交通機関全部のストライキ、これが許されるというのがすごいですよね。ストライキで被害を被るのは利用者もですが、会社もです。労働者の権利をしっかり行使しているのがすごい。
日本でやるとどうなるだろう?と考えると、労働者の意識的に難しそうだな、と。多分、「お客様に迷惑はかけられない」が先に来ちゃうんじゃないかと思います。あと、皆がやっていないからやらない、というのも。
ドイツに限りませんが、他の国のお店や行政の対応を見ていると、私(労働者)>客・利用者 の意識が見えます。日本の場合は「お客様は神様」の言葉が表すとおり、私<客・利用者 の意識が強いように思います。
日本が間違っている!というつもりはありませんが、働き手の目線からしたら、ドイツのような社会の方が働きやすいのかなと思いました。ただ、利用者視点だとこちらのストライキは「ほんとゴミ!迷惑!!」なので、そこは一長一短。ままならないものです。
おまけ
この後、2月15日にも市内交通のストライキがありました。この日は家に引きこもって事なきを得ています。
Xで流れてきた情報によると、3月1日には全国で大規模なストライキがあるのでは?という推測も。この日は絶対に予定を入れないようにしたいものです。
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